ローソンの無料券で手に入れた、甘いカフェオーレ。
何も考えずに飲んだその一口で、心が昔に戻ってしまった。
それは、まるで伝言ゲームのように、ローソンのカフェオーレから、イノダコーヒーの「アラビアの真珠」に記憶がつながりました。
アラビアの真珠はミルクと砂糖が入った「ミルクコーヒー」の状態で供されます。
昔、雑誌かテレビでその名前を目にした時、「なんて美しい名前だろう」と胸をときめかせた思い出。
でも、当時は地方暮らしで、その一杯に出会うことはありませんでした。
ようやくその夢が叶ったのは、10年と少し前。
東京駅の大丸で「アラビアの真珠」を見つけたときは、子どもの頃の憧れに、大人になってやっと会えた気がしました。
この味は、どこかで知っている味…。
――ああっ!子どものころに飲んだコーヒーの味だ。
実家がが営んでいた洋食の食堂。
オープン前にコックさんがネルドリップで、大きなポットにコーヒーを淹れていた姿を思い出します。
当時のコーヒーは濃くて、10gの「カップ印の砂糖」を1袋と、ステンレスのミルクピッチャーに入ったエバミルクがついていたんだよね。
お客さんは、たいてい、砂糖とミルクを全部入れていたように思う。
子どもながらに背伸びして飲んでみるが、半分も飲めずに残していました。
今となっては信じられない砂糖の量。
でも、コーヒーがそれだけ濃かったからこそ、甘さとミルクがちょうどよかったのだろうと思います。
時代は変り、私もブラックコーヒーを好むようになりましたが、
半世紀前の「ミルクコーヒー」の記憶は色鮮やか。
無料券で頂いたカフェオーレひとつで、記憶の中の小さな時間旅行を楽しんだひと時でした。

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